昭島市、八王子市で解体工事を請負っている、株式会社野島工務店です。普段、エレベーターを利用していても、その内部構造や設置機器について詳しく知る機会はほとんどないでしょう。しかし、建物の取り壊しや設備更新に伴い、エレベーターの解体が必要になる場面もあります。その際、どのような工程で作業が行われ、どのような廃棄物が発生するのか、あらかじめ把握しておくことで、トラブルを回避しやすくなります。今回は、エレベーターの構造や解体工事の流れなどについて解説いたします。
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【エレベーターの種類と構造について】
エレベーターは大きく分けて、「油圧式」と「ベルト式(ロープ式)」の2種類が存在します。
・油圧式エレベーター
油圧の力によって昇降するタイプで、低層の建物に多く採用されています。このタイプでは、油を蓄えるための大きなオイルタンクが設置されており、使用される油の量も非常に多いです。オイルには劣化や環境汚染の懸念もあるため、処理には注意が必要です。
・ベルト式(ロープ式)エレベーター
ワイヤーロープやベルトと大きなモーターによって昇降を行います。高層建築物ではこちらの方式が主流で、使用されるモーターも大型で重量があります。また、制御装置として高性能な電子制御盤が設置されており、近年ではインターネットと接続されたスマート管理も増えています。
また、昇降路の内側や制御装置の周辺には、かつて断熱や防音材としてアスベストが使用されていたケースもあり、こうした素材を含む部分の撤去には、特別な対策と処理が義務付けられています。
【発生する廃棄物と処理の注意点】
エレベーターの解体で発生する廃棄物には、以下のようなものが含まれます。
・油圧式の場合の潤滑油・作動油
・重量機械(モーター、油圧ユニット)
・電子制御機器(PCB含有の可能性あり)
・断熱材やアスベスト含有建材
・鉄くずや金属スクラップ
これらは「特別管理産業廃棄物」として分類されることが多く、一般の廃棄物と違い、収集運搬や処分には専門業者の許可と管理が必要です。とくにPCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む電子部品や、アスベストを含む建材については、環境省や自治体のガイドラインに従い厳格に処理されなければなりません。
こうした背景から、エレベーターの解体工事を検討する際は、産業廃棄物収集運搬・処分の許可を持つ業者に依頼することが不可欠です。
【エレベーター解体工事の標準的な流れ】
ここからは、実際にエレベーターの解体工事を依頼した際の、おおまかな作業の流れについてご紹介します。工事内容は機種や現場の状況により変動しますが、基本的な手順は以下の通りです。
1.お問い合わせ
まずは業者へのご相談からスタートします。解体を検討している建物の概要や、エレベーターの種類などを伝えることで、初期段階の対応がスムーズになります。
2.現地調査および打ち合わせ
担当者が現地を訪問し、エレベーターの仕様、設置場所、搬出経路などを確認します。また、施主様と工事日程や注意事項についての打ち合わせを行います。特にアスベストの有無や廃棄物の処理方針など、法令に関わる内容も丁寧に確認されます。
3.見積書の作成・提示
調査の結果をもとに、工事内容に合わせた詳細なお見積書が提出されます。作業工程、使用する機材、人員、廃棄処理費用などが明記されるため、費用の内訳が明確です。
4.契約の締結
見積内容を精査し、問題がなければ正式な契約を交わします。契約書には工期、費用、作業範囲などが記載され、双方の同意に基づいて署名・押印されます。
5.油抜き作業(油圧式の場合)
油圧式エレベーターを解体する際には、まず油圧ユニットから作動油を抜き取る作業が行われます。抜き取られた油は専用の容器で回収され、そのまま産業廃棄物として適切に処分されます。
6.油圧ユニット・電子制御盤の撤去
油の抜き取りが完了した後、油圧ユニット自体や電子制御盤の解体作業に入ります。これらの機器は大型かつ重量があるため、クレーンやフォークリフトなどを使用することもあります。また、PCBが含まれる機器については、法律に基づいた処理フローで対応されます。
7.昇降機本体の解体作業
エレベーターの昇降機部分を取り外していきます。機種や設置年によっては、機械室が別フロアにあるなど特殊な構造の場合もあります。昇降路の内壁にアスベストが使用されているケースでは、事前の除去作業が必要です。
8.廃材の搬出作業
解体で発生した鉄骨や機器、配線などの廃材は、安全に分別され運び出されます。重量物も多いため、建物の損傷や周囲の安全に配慮しながら、慎重に作業が進められます。すべての廃棄物は、法律に基づいて適正に処理されます。
9.運搬・廃棄およびマニフェストの発行
回収した廃材は、産業廃棄物処理業者の施設へ運搬されます。現地で再度分類作業が行われ、それぞれの廃棄物に応じた処分が施されます。また、法令に基づき、マニフェスト(産業廃棄物管理票)が発行されます。このマニフェストは処理の完了後、施主側でも内容を確認できるよう提供されます。
【安心・安全なエレベーター解体のために】
エレベーターの解体は、建物解体の中でも特に専門性が求められる工程の一つです。重量物の扱い、高所での作業、アスベストやPCBといった有害物質への対処など、多くのリスクが含まれるため、信頼できる業者への依頼が最も重要です。昭島市、八王子市で解体工事をご検討の際は、ぜひ株式会社野島工務店へご相談ください。